飲食店のキャンセル料はいつから・いくら?宴会の予約で確かめることと無断キャンセル
飲食店のキャンセル料は、予約時にお店が示すキャンセル規定によります。個人の予約では、消費者契約法で「平均的な損害の額」を超える部分は無効です。無断キャンセルについてのレポートの整理と、宴会の予約で確かめることをまとめました。
飲食店のキャンセル料が何日前から・いくらかかるかは、予約のときにお店が示すキャンセルの規定(キャンセルポリシー)によります。民法と消費者契約法には、飲食店のキャンセル料の日数や割合を決めた規定はありません。個人が事業のためではなく予約した場合(消費者契約)は、お店の規定で定めたキャンセル料のうち、規定が設けた取り消しの時期などの区分ごとに、そのお店に生じる「平均的な損害の額」を超える部分は、消費者契約法により無効です。宴会を予約するときは、何日前から何割かかるか、人数が減ったときはどうなるかを予約の時点で確かめ、行けないと分かったらすぐにお店に連絡します。
連絡のない無断キャンセルについては、経済産業省が2018年に公表した、同省の委託調査事業の有識者勉強会のレポートが考え方を整理しています。レポートは、コース予約の無断キャンセルでは、その旨のキャンセル規定があれば全額のキャンセル料になることがある一方で、転用できる食材や人件費などを除いて、お店ごとに損害額を算定する必要があると書いています。
「忘年会の人数がまだ固まらない」「候補のお店を2つ仮に押さえている」。宴会の予約では、あとから取り消しや人数の変更が起きる場面があります。予約の前にキャンセル規定を確かめておくと、幹事も参加する人も、当日までの段取りを決めやすくなります。
くらしくらべ編集部は、2026年11月2日に、e-Gov 法令検索の消費者契約法・民法の条文、消費者庁の「消費者契約法 逐条解説」、経済産業省が公表した「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」、消費者庁の「消費者ホットライン」の案内で確かめた内容をまとめました。
飲食店のキャンセル料は、予約時に示されるお店のキャンセル規定が基準になる
飲食店のキャンセル料は、予約のときにお店が示すキャンセル規定が、何日前から何割かかるかの基準になります。個人が事業のためではなく予約した場合は、規定で定めたキャンセル料のうち、そのお店に生じる平均的な損害の額を超える部分は、消費者契約法により無効です。
経済産業省が2018年に公表したレポートは、予約の方法にかかわらず、日時や席数、コース、金額などの内容が確定していれば、その時点で飲食の提供の契約が成立すると整理しています。ネット予約だけでなく、口頭の電話予約でも契約が成立することがあると書いています。
- 損害賠償:レポートは、キャンセルでお店に損害が出れば、お店は損害賠償を請求できると整理しています。前もってのキャンセルでも、お店に損害を与えれば、損害賠償の対象になる可能性があるとしています
- 請求に必要なこと:レポートは、キャンセル料を請求するには、お店が適切なキャンセル料を算定し、キャンセル規定を決め、予約のときにその内容を示すことが必要と整理しています。お店がキャンセル料の構成を説明する責任を負い、根拠なく決めた法外な金額には法律上の問題があるとも書いています
- 示し方:レポートは、お店がネット上でキャンセル規定を示すことに加えて、電話予約でも最低限の説明をするべきとしています
価格に含まれるサービス料や個室料の見方は「飲食店のサービス料とは?」にまとめています。
(出典:サービス産業の高付加価値化に向けた外部環境整備等に関する有識者勉強会「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」(2018年11月1日、国立国会図書館インターネット資料収集保存事業の保存版)、e-Gov 法令検索「消費者契約法」、e-Gov 法令検索「民法」、2026年11月2日確認)
個人の予約では「平均的な損害の額」を超えるキャンセル料は無効(消費者契約法 第9条)
個人が事業のためではなく予約した場合、お店の規定で定めたキャンセル料のうち、そのお店に生じる平均的な損害の額を超える部分は、消費者契約法第9条第1項第1号により無効です。無効になるのは超える部分で、規定のキャンセル料のすべてが無効になるわけではありません。
平均的な損害の額は、そのお店の損害の平均で、業界の相場ではない
平均的な損害の額は、同じお店が結ぶ同じ種類の多くの契約を類型としてまとめたときの、取り消しに伴う損害の平均の額です。消費者庁の逐条解説は、個々の事業者に生じる損害について、契約の類型ごとに合理的な根拠で算定した平均の値で、業界の水準を指すものではないと説明しています。
平均的な損害の額を超えるかどうかは、お店の規定が設けた取り消しの時期などの区分ごとに判断されます。たとえば「7日前まで」「前日」「当日」と区分した規定なら、それぞれの区分で、そのお店に生じる損害の平均と比べます。
会社の宴会として予約するときは、消費者契約法の対象にならないことがある
消費者契約法の「消費者」は個人で、事業として、または事業のために契約の当事者となる場合を除きます。法人などの団体は「事業者」にあたります。会社の行事として会社が予約する宴会は、消費者契約にあたらないことがあり、扱いは予約の形によって違います。
会社の宴会を幹事が予約するときも、お店のキャンセル規定と、人数が減ったときの扱いを予約の時点で確かめます。
請求されたときは、計算の根拠の概要の説明を求められる
個人の予約で、お店がキャンセル料の規定にもとづいて支払いを求めるとき、説明を求められれば、お店はキャンセル料の算定の根拠の概要を説明するよう努めなければなりません(消費者契約法第9条第2項)。
- 説明の中身:消費者庁の逐条解説は、説明は算定の根拠の「概要」でよく、費用の具体的な数字までは要らず、考慮した費用の項目などを説明すれば足りるとしています
- 努力義務:逐条解説は、この規定は努力義務で、守られなかったことを理由に契約の取消しや損害賠償などの効果が直ちに生じるものではないと説明しています
- 説明を求める意味:逐条解説によると、平均的な損害の額は基本的に消費者の側が立証することになります。立証に必要な資料は主にお店が持っているため、説明の努力義務が設けられたと逐条解説は説明しています
この規定は、令和4年の消費者契約法の改正で加わりました。
(出典:e-Gov 法令検索「消費者契約法」、消費者庁「消費者契約法 逐条解説(令和5年9月)」第9条、2026年11月2日確認)
無断キャンセルと、前もって連絡するキャンセルの違い
経済産業省が2018年に公表した有識者勉強会のレポートは、前もってのキャンセルでは、お店が逸失利益(取り消しがなければ得られた利益)を補える可能性があるため、逸失利益を含む全額を請求するのは難しいと整理しています。一方、連絡のない無断キャンセルでは、逸失利益を補える可能性が限りなく低いという違いがあるとしています。
レポートは、無断キャンセル(No show)を、予約していたのに、その日時になってもお店に連絡せず、またはお店からの連絡に応じずに来店しないことと説明しています。無断キャンセルでは、お店は遅れて来る客のために席を空け、平均2〜3時間ほど待つことが通常で、お店の努力で損害を軽くするのが難しいと書いています。
コース予約の無断キャンセル
レポートは、コース料金が予約の内容になっているコース予約の無断キャンセルでは、別の客で埋め合わせることが著しく難しいため、損害が料金の全額となることがあり、その場合はその旨のキャンセル規定にもとづいて全額のキャンセル料を請求できると整理しています。
同時に、転用できる飲食物の代金や人件費などを除く必要があり、消費者契約法などの法律に沿って、お店ごとの収益の構造などの事情を踏まえて損害額を算定することが必要とも書いています。
席だけの予約の無断キャンセル
レポートは、席だけの予約の無断キャンセルでも、お店は損害賠償を請求しうるとしています。レポートは、予約の内容(コースや金額)まで決まっていない場合について、平均客単価から転用できる原材料費や人件費などを除いた額(平均客単価の何割か)を、損害賠償額の一つの目安としています。
お店は、平均客単価や損害賠償額の算定の方法を前もって示す必要があるとも、レポートは書いています。
このレポートについて
このレポートは、平成29年度の経済産業省の委託調査事業による「サービス産業の高付加価値化に向けた外部環境整備等に関する有識者勉強会」が2018年11月1日にまとめたもので、経済産業省・農林水産省・消費者庁がオブザーバーとして参加しました。委員は、弁護士、大学教授、飲食業の団体、消費生活相談員の団体、予約システムの事業者の代表などです。
消費者契約法第9条第2項の説明の努力義務が加わった令和4年の改正などより前の資料で、レポートが引用している民法の条文にも、2026年11月2日時点の条文と違う箇所があります。この記事の法律の説明は、2026年11月2日時点の e-Gov 法令検索の条文に合わせています。
レポートを公表した経済産業省のページは、2026年11月2日時点で同省のサイトでは表示されないため、国立国会図書館が2019年1月に保存した版で確かめました。
(出典:経済産業省「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポートが発表!」(2018年11月1日、国立国会図書館インターネット資料収集保存事業の保存版)、サービス産業の高付加価値化に向けた外部環境整備等に関する有識者勉強会「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」(2018年11月1日、国立国会図書館インターネット資料収集保存事業の保存版)、2026年11月2日確認)
宴会を予約するときに確かめる4つのこと
宴会を予約するときは、キャンセル規定、人数が減ったときの扱い、取り消しの連絡方法、事前決済やカード登録をした場合のキャンセル料の扱いの4つを確かめます。
- キャンセル規定:何日前から、料金の何割がかかるか。コースの予約だけでなく、席だけの予約にもかかるか
- 人数が減ったときの扱い:人数を確定する日より後に減った分に、キャンセル料がかかるか
- 取り消しの連絡方法:電話の受付時間や、ネット予約の取り消しの手順。レポートは、キャンセルしようとしても連絡がつきにくく、結果として無断キャンセルになっている場合もあると想定し、お店が連絡を受ける体制や仕組みを整えておくことが欠かせないと書いています
- 事前決済・預かり金・カード登録:レポートは、事前決済や預かり金(デポジット)、クレジットカードの事前登録を、お店の取り組みとして挙げています。事前決済やカード登録をした予約で、キャンセル料をどう扱うかを予約のときに確かめます
人数を確定する日の決め方や、予約のときにお店へ伝えること、会費の決め方は「宴会の幹事のお店選びは?」にまとめています。
(出典:サービス産業の高付加価値化に向けた外部環境整備等に関する有識者勉強会「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」(2018年11月1日、国立国会図書館インターネット資料収集保存事業の保存版)、2026年11月2日確認)
行けなくなったとき・人数が減ったときの段取り
行けない、または人数が減ると分かった時点で、すぐにお店に連絡します。
- 分かった時点で連絡する。レポートは、来店の直前でもキャンセルの連絡があれば、お店は食材を生かしたり、空いた席に別の客を案内したりできると説明しています
- 複数のお店を仮に押さえていたら、使わないお店すべてに取り消しの連絡をする。レポートは、接待で和食・洋食・中華の3店を同じ日時に予約し、使わなかった2店に連絡しなかった例を挙げています
- キャンセル料を請求されたら、金額をお店のキャンセル規定と照らし合わせる。個人の予約では、算定の根拠の概要の説明を求められます
- 金額が法外だと感じたら、消費生活相談窓口に相談する。レポートも、法外な額と感じたら全国の消費生活相談窓口に相談するよう呼びかけています
消費者ホットライン「188」は、地方公共団体の消費生活センターや消費生活相談窓口を案内する番号です。郵便番号などを入力すると、近くの窓口が案内されます。一部のIP電話などからは、住んでいる地域の窓口に直接かけます。
接待のお店を選ぶときに確かめることは「接待のお店の選び方は?」にまとめています。
(出典:サービス産業の高付加価値化に向けた外部環境整備等に関する有識者勉強会「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」(2018年11月1日、国立国会図書館インターネット資料収集保存事業の保存版)、e-Gov 法令検索「消費者契約法」、消費者庁「消費者ホットライン」、2026年11月2日確認)
よくある質問
飲食店のキャンセル料はいつからかかりますか?
飲食店のキャンセル料が何日前からかかるかは、予約のときにお店が示すキャンセル規定によります。民法と消費者契約法には、飲食店のキャンセル料の日数を決めた規定はありません。個人が事業のためではなく予約した場合は、規定が設けた取り消しの時期などの区分ごとに、お店に生じる平均的な損害の額を超える部分のキャンセル料は、消費者契約法により無効です(2026年11月2日確認)。
無断キャンセルをすると、キャンセル料は全額になりますか?
全額になるとは限りません。経済産業省が2018年に公表した有識者勉強会のレポートは、コース予約の無断キャンセルでは、その旨のキャンセル規定があれば全額のキャンセル料になることがある一方で、転用できる食材や人件費などを除いて、お店ごとに損害額を算定する必要があると整理しています(2026年11月2日確認)。
席だけの予約でもキャンセル料はかかりますか?
かかることがあります。経済産業省が2018年に公表した有識者勉強会のレポートは、席だけの予約の無断キャンセルでも、お店は損害賠償を請求しうるとしています。レポートは、予約の内容(コースや金額)まで決まっていない場合について、平均客単価から転用できる原材料費や人件費などを除いた額(平均客単価の何割か)を一つの目安としています。かかるかどうかと金額は、お店の規定と予約のときの説明で確かめます(2026年11月2日確認)。
電話で予約しただけでも、キャンセル料はかかりますか?
かかることがあります。経済産業省が2018年に公表した有識者勉強会のレポートは、日時や席数、コース、金額などの予約の内容が確定していれば、口頭の電話予約でも契約が成立することがあると整理しています。レポートは、電話予約でもお店がキャンセル規定を最低限説明するべきとしているので、電話で予約するときもキャンセル規定を聞いておきます(2026年11月2日確認)。
キャンセル規定を聞いていなかったときも、キャンセル料はかかりますか?
キャンセル規定を聞いていなかったときも、キャンセルでお店に損害が出れば、損害賠償を請求されることがあると、経済産業省が2018年に公表した有識者勉強会のレポートは整理しています。一方でレポートは、キャンセル料を請求するには、お店が適切な金額を算定してキャンセル規定を決め、予約のときにその内容を示すことが必要としています。お店がキャンセル料の構成を説明する責任を負うとも書いています(2026年11月2日確認)。
キャンセル料が高すぎると感じたら、どうすればいいですか?
個人の予約では、まずお店にキャンセル料の算定の根拠の説明を求められます。消費者契約法第9条第2項は、お店がキャンセル料の規定にもとづいて支払いを求めるときに、説明を求められれば、算定の根拠の概要を説明するよう努めなければならないと定めています。納得できないときは、消費者ホットライン「188」で、近くの消費生活センターなどの相談窓口を案内してもらえます(2026年11月2日確認)。
まとめ
飲食店のキャンセル料が何日前から・いくらかかるかは、予約のときにお店が示すキャンセル規定によります。個人が事業のためではなく予約した場合は、規定で定めたキャンセル料のうち、お店に生じる平均的な損害の額を超える部分は消費者契約法により無効で、請求されたときは算定の根拠の概要の説明を求められます。
経済産業省が2018年に公表した有識者勉強会のレポートは、コース予約の無断キャンセルでは、その旨の規定があれば全額のキャンセル料になることがあると整理しています。宴会の予約では、キャンセル規定、人数が減ったときの扱い、取り消しの連絡方法、事前決済やカード登録をした場合の扱いを確かめ、行けないと分かったらすぐにお店に連絡します。
宴会のお店は「宴会・歓送迎会のお店の選び方と比較」で、心斎橋・なんばのお店は「心斎橋・なんばで宴会ができるお店は?」で、同じ項目で比べています。