食物アレルギーは予約でどう伝える?外食・旅館で確かめることと申し出の期限
外食・中食のお店に食物アレルギーの表示の義務はなく、情報の出し方はお店ごとに違います。予約で伝えることと確かめること、消費者庁の特定原材料9品目、有馬温泉の旅館4軒の申し出の期限をまとめました。
食物アレルギーは、予約のときに、好き嫌いではなく食物アレルギーであることと、原因の食物、対応してほしい内容をはっきり伝え、それが調理する人まで伝わるか、どこまで対応できるかを確かめます。外食・中食のお店には、容器包装された加工食品のような食物アレルギー表示の義務がなく、情報の出し方や対象の範囲はお店ごとに違うと消費者庁は説明しています。旅館の食事も、対応できる範囲と申し出の期限は宿ごとの案内で確かめます。
「顔合わせの相手に卵のアレルギーがある」「家族旅行で子どもの食事が心配」。予約の電話やフォームで、何をどこまで伝えればよいか迷う場面があります。旅館では、申し出の期限を宿泊の数日前と決めている宿もあります。
くらしくらべ編集部は、2026年10月31日に、消費者庁の「食物アレルギー表示に関する情報」と消費者向けパンフレット(令和8年7月版)、政府広報オンラインで確かめた制度と伝え方をまとめました。あわせて、有馬温泉の旅館4軒の「食事の変更・アレルギー対応の案内」(2026年10月29日、各宿の公式サイトで確認)を、申し出の期限・対応の範囲・断る場合の3つの観点で並べ直しています。
食物アレルギーは予約で「アレルギーであること・原因の食物・対応してほしい内容」を伝える
食物アレルギーは、予約のときに、アレルギーであること、原因の食物、対応してほしい内容の3つを伝え、調理する人まで伝わるかを確かめます。
- アレルギーであること:好き嫌いではないと分かる言い方で伝えます。政府広報オンラインは「食物アレルギーなのですが、牛乳を使っていますか」という聞き方を例に挙げています
- 原因の食物:品目を具体的に伝えます。複数あれば、すべて伝えます
- 対応してほしい内容:政府広報オンラインは「完成した料理から卵を取り除くのではなく作り直してください」という伝え方を例に挙げています
- アレルギーのある人の人数
政府広報オンラインは、アレルギーであることをはっきり伝えないと、お店で働く人に好き嫌いと思われ、対応が不十分になることがあると説明しています。症状の程度などを事前に聞くお店もあると、消費者庁のパンフレットは取組の例として紹介しています。
注文を受ける店員と、調理する人は別のことが多いと、消費者庁のパンフレットは書いています。同じパンフレットには、予約のときにアレルギーを伝えたのに、受けたスタッフがシェフに伝えていなかった誤食の事例が載っています。パンフレットは、調理する人にも伝わるよう、口頭ではなく消費者庁の「食物アレルギーコミュニケーションシート」などで確かめるよう書いています。
最終的に「食べられる/食べられない」を判断するのは本人か家族で、原因の食物が含まれているか分からないときや、確かめても心配な点が残るときは利用しないことも大切だと、消費者庁のパンフレットと政府広報オンラインはどちらも書いています。外食・中食の利用は医師の指導に従うよう、消費者庁のパンフレットは書いています。
(出典:政府広報オンライン「食物アレルギー ある人もない人も知っておきたい基礎知識」、消費者庁「食物アレルギーの患者さん・ご家族の方へ 外食・中食を利用するときに気をつけること」(令和8年7月版)、消費者庁「食物アレルギーコミュニケーションシート」、2026年10月31日確認)
外食・中食のお店には、加工食品のような食物アレルギー表示の義務がない
外食・中食のお店には、食物アレルギーに関する情報提供の義務がありません。消費者庁のパンフレットは、容器包装された加工食品には特定原材料の表示が義務づけられている一方で、外食・中食にはそもそも加工食品のような食物アレルギー表示のルールがないと説明しています。パンフレットでいう中食は、あらかじめ容器包装されずに販売される弁当や惣菜などの、店頭での対面販売です。
一覧表などで、自主的に食物アレルギーの情報を出しているお店もあります。ただし、対象にしている範囲はお店によって違い、消費者庁のパンフレットは「乳・卵・小麦だけ」「9品目だけ」「29品目が対象」といった例を挙げています。情報が古くなっていることもあると書かれています。
消費者庁のパンフレットは、外食・中食の特徴として、次の3つを挙げています。
- 調理や盛りつけによって、同じメニューでも原材料や内容量にばらつきがある
- 提供する商品の種類が多く、原材料がよく変わる
- 調理中に原因の食物が混入することがある
政府広報オンラインは、外食・中食に表示の義務がない理由として、同じキッチンで複数の料理を同時に調理するため混入の管理が難しいことと、お店の規模やメニュー数、スタッフ数がさまざまで一律のルールを決めにくいことを挙げ、「考えられます」と説明しています。
旅館の食事も、対応できる範囲と申し出の方法は、宿ごとの案内で確かめます。
(出典:消費者庁「食物アレルギーの患者さん・ご家族の方へ 外食・中食を利用するときに気をつけること」(令和8年7月版)、政府広報オンライン「食物アレルギー ある人もない人も知っておきたい基礎知識」、2026年10月31日確認)
特定原材料は9品目、特定原材料に準ずるものは20品目
特定原材料は、えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生の9品目です。容器包装された加工食品に、含む旨の表示が義務づけられています。
表示が推奨(任意)されている「特定原材料に準ずるもの」は、アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、ピスタチオ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチンの20品目です。消費者庁のパンフレットは、20品目は表示されないこともあり、「表示がない=含まれていない」ではないと書いています。
- 消費者庁は、2026年4月1日の改正でカシューナッツを特定原材料に加え、2年間の経過措置期間を設けたと案内しています。同じ時に、ピスタチオを特定原材料に準ずるものに加えました
- くるみは、2023年3月9日に特定原材料に加わりました
- マカダミアナッツは、2024年3月28日に特定原材料に準ずるものに加わり、同じ時にまつたけが外れました
お店のアレルギーの一覧表を見るときは、対象が特定原材料の9品目だけか、準ずるものを含めた29品目かを、この品目と見比べられます。
(出典:消費者庁「食物アレルギー表示に関する情報」、消費者庁「アレルギー表示とは」、消費者庁食品表示課「アレルゲンを含む食品に関する表示について」(令和8年4月1日事務連絡)、2026年10月31日確認)
予約の前と当日に確かめる4つのこと
予約の前と当日には、お店・宿の情報の範囲、答えている人、調理の分け方、申し出の期限の4つを確かめます。
- 情報の範囲:アレルギーの一覧表があれば、何品目を対象にしているか、いつの情報かを見ます。政府広報オンラインは、情報が古かったり間違っていたりする可能性もあるので、よく行くお店でも毎回確認するよう書いています
- 答えている人:原材料や調理の環境をよく把握しているスタッフや、お店の責任者に確かめます。消費者庁のパンフレットは、店員さんの「入っていない」は不確かなこともあると書いています
- 調理の分け方:調理器具やトングなどの使い分けや洗浄ができるかを確かめます。消費者庁のパンフレットは、外食・中食では原因の食物の混入を完全に防ぐことは難しいと説明しています
- 申し出の期限:今回確かめた消費者庁と政府広報オンラインの資料には、何日前までに伝えるという日数の決まりは書かれていません。外食のお店も旅館も、お店・宿ごとの案内で期限を確かめます。旅館では、宿泊の数日前までの期限や、対応しない内容(調味料・出汁など)を案内している宿があります
(出典:政府広報オンライン「食物アレルギー ある人もない人も知っておきたい基礎知識」、消費者庁「食物アレルギーの患者さん・ご家族の方へ 外食・中食を利用するときに気をつけること」(令和8年7月版)、2026年10月31日確認)
有馬温泉の旅館4軒のアレルギーの案内は、申し出の期限と対応の範囲が宿ごとに違う
有馬温泉の旅館4軒の公式サイトの案内では、アレルギーの申し出の期限、対応できる範囲、断る場合の書き方が宿ごとに違います(2026年10月29日、各宿の公式サイトで確認)。観点ごとに並べると、次のとおりです。
申し出の期限:
- 有馬御苑は、予約時または宿泊日の3日前までに電話で伝える形で、当日の申告は受けないと書いています
- 高山荘 華野は、予約時か宿泊3日前までに申し出る形で、直前の予約は対応できない場合があると書いています
- 天地の宿 奥の細道は、代替・排除食を予約の際に相談する形です
- 元湯龍泉閣は、アレルギー・好き嫌いを相談で受ける形で、当日の申告には対応できないと書いています
対応の範囲:
- 有馬御苑は、海老・蟹・そば・卵・乳・小麦・落花生・くるみの8品目に限り、可能な範囲で除去すると案内しています
- 高山荘 華野は、できる限りアレルゲンの除去に努めるとしたうえで、調味料に含まれるアレルギーと、鰹出汁・昆布出汁の変更には対応できないと書いています
- 元湯龍泉閣は、鰹だしが全く食べられない場合と、調味料に成分(大豆・小麦など)が含まれる場合には対応できないと書いています
- ベジタリアン対応は、高山荘 華野と元湯龍泉閣ができないと書いています。好みによる変更は、有馬御苑と天地の宿 奥の細道が受けないと書いています
断る場合:
- 高山荘 華野は、重篤な場合は断る場合があると書いています
- 天地の宿 奥の細道は、調理を完全には分けていないことと、提供を断る場合があることを書いています
- 元湯龍泉閣は、要望に添えない場合があると書いています
- 有馬御苑は、重度の場合は食事の持参を頼む場合があると書いています
有馬御苑の案内にある8品目に、2026年4月1日に特定原材料に加わったカシューナッツは入っていません。案内に挙がっていない品目のアレルギーは、予約の前に宿へ確かめます。
4軒を含む有馬温泉の旅館6軒の夕食の場所や料理は「有馬温泉で部屋食の旅館は?」に、旅館の夕食を同じ項目で並べた比較表は「旅館の夕食の選び方と比較」にまとめています。
(出典:有馬御苑 公式サイト、高山荘 華野 公式サイト、天地の宿 奥の細道 公式サイト、元湯龍泉閣 公式サイト、2026年10月29日確認)
予約から当日までの段取り
食物アレルギーのある人の予約は、宿やお店の案内で申し出の期限を確かめてから予約し、当日は、伝えた内容が調理する人に届いているかを確かめる順で進めます。
- 公式サイトで、アレルギーの案内(申し出の期限、対応できる範囲、断る場合)を読む
- 予約のときに、アレルギーであること、原因の食物、対応してほしい内容、アレルギーのある人の人数を伝える。フォームで予約するときは備考の欄に書く
- 予約のときに伝えられなかった場合は、宿やお店の案内の期限(宿泊の3日前までなど)までに伝える
- 当日、伝えた内容が調理する人に届いているかを確かめる。消費者庁の「食物アレルギーコミュニケーションシート」を見せて確かめる方法もある
- 確かめても心配な点が残るときは、利用しないことも選ぶ
電話で予約するときは、調理する人に伝わるかをその場で聞いておくと、当日に伝わったかを確かめやすくなります。
会食や宴会で、幹事が参加者の分をまとめて伝えるときの段取りは「宴会の幹事のお店選びは?」にまとめています。顔合わせの席は「顔合わせのお店の選び方は?」、接待の席は「接待のお店の選び方は?」に、お店を選ぶときに確かめることをまとめています。
(出典:消費者庁「食物アレルギーの患者さん・ご家族の方へ 外食・中食を利用するときに気をつけること」(令和8年7月版)、政府広報オンライン「食物アレルギー ある人もない人も知っておきたい基礎知識」、2026年10月31日確認)
よくある質問
外食のお店に食物アレルギーの表示の義務はありますか?
外食・中食のお店には、食物アレルギーに関する情報提供の義務はありません。消費者庁のパンフレットは、容器包装された加工食品とは違い、外食・中食にはそもそも加工食品のような食物アレルギー表示のルールがないと説明しています。一覧表などで自主的に情報を出しているお店もありますが、対象の品目はお店ごとに違います(2026年10月31日確認)。
特定原材料は何品目ですか?
特定原材料は、えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生の9品目です。消費者庁は、2026年4月1日の改正でカシューナッツを加え、2年間の経過措置期間を設けたと案内しています。ほかに、表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの」が20品目あります(2026年10月31日確認)。
旅館の食物アレルギーは何日前までに伝えればいいですか?
旅館の食物アレルギーの申し出の期限は宿ごとに違い、宿の案内に従います。消費者庁と政府広報オンラインの資料に、何日前までという日数の決まりは書かれていません。有馬温泉の旅館4軒では、予約時か宿泊の3日前までと案内している宿があり、当日の申告は受けないと書いている宿もあります(2026年10月29日、各宿の公式サイトで確認)。
好き嫌いとアレルギーは、伝え方を分けたほうがいいですか?
食物アレルギーは、好き嫌いではなくアレルギーであることを、はっきり伝えます。政府広報オンラインは、はっきり伝えないとお店で働く人に好き嫌いと思われ、対応が不十分になることがあると説明しています(2026年10月31日確認)。有馬温泉の旅館でも、好みによる変更は受けないと書いている宿があります(2026年10月29日確認)。
アレルギーのある料理は、原因の食物を取り除いてもらう頼み方でいいですか?
原因の食物を取り除くのではなく、作り直してほしいと伝えるのが、政府広報オンラインが挙げている伝え方の例です。消費者庁のパンフレットは、外食・中食では調理中の混入を完全に防ぐことは難しいと説明しています。食べられるかどうかの最終的な判断は本人か家族が行うと、消費者庁のパンフレットと政府広報オンラインはどちらも書いています(2026年10月31日確認)。
まとめ
食物アレルギーは、予約のときに、アレルギーであることと原因の食物、対応してほしい内容をはっきり伝え、調理する人まで伝わるか、どこまで対応できるかを確かめます。外食・中食のお店には、容器包装された加工食品のような食物アレルギー表示の義務がなく、情報の出し方や対象の範囲はお店ごとに違うと消費者庁は説明しています。
旅館の食事も、申し出の期限と対応できる範囲は宿ごとの案内で確かめます。有馬温泉の旅館では、予約時か宿泊の3日前までと案内している宿や、調味料・出汁の変更、当日の申告には対応しないと書いている宿があります(2026年10月29日確認)。旅館の夕食は「旅館の夕食の選び方と比較」の比較表で、同じ項目で見られます。


